原点回帰

桜の庄兵衛ギャラリーでの第一回いけばな二人展「一に還り 一に蘇る春」(2011年)のお写真をGalleryに追加掲載いたしました。

 

この二人展は、長らく現代いけばなのフィールドで活動を展開されていた先生方にとって、「いけばなへの原点回帰」と評される花展となりました。

1990年代から現代いけばな・現代美術の創作活動に注力されていた先生方ですが、20年余りの歳月を経て、伝統的ないけばなへ寄せる思いが深まり、いけばなの原点を見つめ直す花展の開催を考えるようになられたそうです。

しかし先生方が思い描くようないけばな展を開催するのに適した会場がなかなかございませんでした。

思いばかりが募るなか、桜の庄兵衛ギャラリーの存在を知り、是非この建物で花をいけたいと、ついに会場が決まり、いけばな二人展「一に還り 一に蘇る春」が開催されたのです。

そして、名古屋造形大学教授・三頭谷鷹史先生はこの花展について、「現代いけばな活動を経て花の原点検証に至った二人展」と題されました。


【日本女性新聞 第2108号掲載記事より一部抜粋】

 

いけばなを初めて約四〇年という二人が、現代いけばな活動をへて至った原点検証にこそ今回のポイントがある。

 

現代いけばな活動による成果は、柔軟な思考の獲得であり、それによって従来の花展のあり方を客観視できることにあるのではないだろうか。慣習化したデパートなどでの花展が、いけばな関係者だけでひしめき合い、一般の観客をかえって遠ざけてしまっている現実や、本当に花を楽しむ場となりえているのかどうかという点。また、イベント化した野外花展も、果たして本当に場をえてのことなのかどうか。こうした従来の花展のあり方については反省しなければならない。

今回、すばらしい場をえての花展になったと思うが、観客は圧倒的に美術関係者や一般客であって、いけばな関係は少なかったと聞いて驚いた。いけばな関係者にこそ見てもらいたかったのだが。

 

次に、場をえたという時の「場」とは何かについて考えてみなければならない。座敷飾りをルーツの一つとするいけばなは、「場」によって生き、「場」を生かす。私の言葉で言えば、装飾芸術の一面を強くもつということだ。作品的自立を第一義とする美術とは違った作品展開があるというのが興味深いのである。(中略)

現代いけばなの経験を踏まえた松井や田中には、さらに「場」との関わりを意識した装飾芸術の可能性が広がっている。


「いけばなへの原点回帰」と評されました、いけばな二人展のお写真、皆様ぜひご覧くださいませ。

 

 → 二人展「一に還り 一に蘇る春」Galleryはこちら

コメント: 0